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科目免除はあるけれども・・・

志郎「老師、社労士試験で一部の科目が免除される制度があると聞いたのですが…」
依田「その話の出どころは米田じゃな?相変わらずあの男は楽をすることばかり考えておる。」
志郎「しかし老師、『使える制度を使わないのは損』という米田の言は正しいかと・・」
依田「まあそうじゃが、実際のところ、お主には関係のない話じゃよ・・・」
志郎「それはどういうことですか?」
依田「良かろう、そこまで言うならば免除制度について教えよう。」
依田「社労士試験の科目は全部で8科目あるのじゃが、一定の条件を満たしている者が免除手続きをすれば最大4科目まで免除されるんじゃ。」
志郎「通常の半分を受験すれば済むなんてすごく良い制度ですね~」
依田「たわけ!!話は最後まで聞かんか!!」
志郎「す、すみません・・・」
依田「じゃが、その免除要件というのが大変なんじゃ。」
志郎「と、言いますと?」
依田「代表格は『社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人に勤務して、補助者として、労働社会保険法令事務の業務に15年以上従事していた人』じゃな。」
志郎「・・・それってむしろ実務で滅茶苦茶鍛えられている人じゃないですか!!」
依田「だから、最低限の知識の確認で良いという意味で免除されるんじゃ。」
依田「免除されるには免除されるだけの理由があるということじゃ・・・理解したか、我が不肖の弟子よ?」
志郎「理解できました、老師・・・」

解説

社会保険労務士試験の試験科目は8科目ありますが、一定の条件を満たしている場合、受験申込時に免除手続きをすれば最大4科目まで免除されます。
なお、免除手続きをすれば必ず免除されるという訳ではなく、手続き後、科目が免除されるかどうかの通知が8月上旬に本人宛に郵送されることで初めて分かります。
逆に言えば、8月までは免除が認められるかどうかわからないので、全科目をしっかり勉強しておくことがあるということです。

免除の要件

社労士試験の一部を免除されるのは次の条件に該当する者です。
なお、この条件を満たしているだけでは免除はされず、必ず、全国社会保険労務士会連合会が行う講習を修了している必要があります。

  • 社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人に勤務して、補助者として、労働社会保険法令事務の業務に15年以上従事していた人
  • 健康保険組合や厚生年金基金、労働保険事務組合の役員または従業員として、労働社会保険法令事務を15年以上していた人

免除の内容

免除が可能な科目は次のとおりで最大4科目まで免除されます。

  • 労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険徴収法のうち、2科目が免除
  • 厚生年金保険法、国民年金法のうち、1科目が免除
  • ・労働・社会保険に関する一般常識

なお、、一定の実務経験がある人は、上記の免除科目に加え、次の科目も免除になります。

  • 労働保険事務組合における実務経験が10年以上の人は、労働保険徴収法が免除
  • 健康保険組合等における実務経験が10年以上の人は、健康保険法が免除
  • 厚生年金基金や企業年金連合会における実務経験が10年以上あれば、厚生年金保険法と国民年金法が免除
  • 国民年金基金、共済組合等における実務経験が10年以上あれば、国民年金法が免除

現場や業務を実際に知っているならば、改めて知識を問う必要はないという形ですね。

免除を受けるには

社会保険労務士の、試験科目を免除してもらうには、受験案内の受験申込書の免除記入欄にチェック印を入れ、免除申請事由を書き添え、受験の申込と同時に申請します。
なお、免除申請する場合、別途に次のような免除資格を証明する書類が必要になります。

実務経験で、免除資格を得る場合

所属していた部署名、事務内容、従事期間を古い順に記入した書類を原本で提出します。
なお、証明者は、事務局長、理事長、局長などの任命権者と決められています。

全国社会保険労務士会連合会が実施している講習で、免除資格を証明する場合

「講習修了証のコピー」と「実務経験を証明する書類」、「受験資格証明書」の3つを提出します。

社労士試験のスケジュールを確認しよう

米田「フフフ、無駄な努力を続けているようだな若き受験生よ。」
志郎「米田、一体なにしに来た!!」
米田「お前に良いことを教えてやろうと思ってな」
志郎「なに?」
米田「もう11月だ。」
志郎「そうだな・・・それがどうした?」
米田「スケジュールを確認しろ、果たして今から間に合うかな。はーはっはっは」

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志郎「・・・ということがあったのですが、どういうことですか老師。」
依田「うむ、実はな、次の社労士試験まで1年ないんじゃ。」
志郎「そ、それはどういうことですか、老師!!」
依田「社労士試験の開催日は毎年8月の第4日曜日と決まっておる。そこから逆算すると修行の時間は9か月程度しか残されていないことになる。」
志郎「あの・・・それって相当不味いのでは・・・」
老師「問題ない。社労士試験の合格者の中には働きながら6か月程度の勉強で合格した者もおる。幸いお主は1日を自由に使えるのだから相当恵まれておる。」
志郎「はあ~」
依田「それよりも、受験の申し込みは4月の中旬から5月の下旬までしか申し込めん。これを忘れると幾ら準備は完璧でも無意味じゃぞ。米田もこれによってやる気を失い、暗黒面に取り込まれたのじゃ・・・」
志郎「なんと恐ろしい・・・」

解説

社労士試験は毎年1回、8月の第4日曜日に19の都道府県で行われます。
なお申込み期間は4月の中旬から5月の下旬までで(平成26年においては4月14日から5月31日まででした)、必要書類を「全国社会保険労務士会連合会 試験センター」宛に郵送するか、または直接、試験センターの窓口に提出することで申し込めます。
また、受験手数料として9,000円を専用の振込用紙を使って、必ず郵便局から納付することが必要です。

社労士試験の開催地

社労士試験は、次の19の都道府県が試験地となります。
北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、
静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、
福岡県、熊本県、沖縄県
ちなみに東京、群馬、京都、大阪、京都、兵庫、香川、福岡などは、複数の試験会場が用意されていますので、もっとも行きやすい場所を選ぶといいでしょう。

試験資格はちゃんとある?

依田「時に志郎よ、1つ確認するが・・・」
志郎「なんでしょうか、改まって?」
依田「お主、社労士試験の受験資格をちゃんと持っておるか・・・?」
志郎「・・・・はい?」
依田「じゃから、お主が受験資格に該当していないとそもそも社労士試験を受験することすらできんのじゃ・・・」
志郎「・・・老師、どうしてそんな大切なことを先に言わないんですか!?」
依田「うむ、それはな・・・今、思い出したからじゃ!!」
志郎「・・・もういいです。それよりも社労士試験に受験資格があるのですか?」
依田「当然じゃ。元々は社労士資格を信頼性のある国家資格にしようとする目的から、定められたもので、主に3つある。」

  1. 学歴による受験資格
  2. 職歴による受験資格
  3. 国家資格による受験資格

依田「基本的にこの要件のどれかに該当していれば受験する資格があるのじゃ。」
志郎「・・・ええと、僕は大卒で①に該当するからすから大丈夫ですね。」
依田「それならよし、修行を続けるぞ。」
志郎「ところで老師、この条件の中に国籍要件はないようなのですが…」
依田「うむ、別に社労士は外国人がなってはいけない職ではないからの、要件さえ満たしていれば外国人でも受験資格が与えられるのじゃよ。」
志郎「へえ~」

解説

社労士を受験するには、学歴など一定の条件を満たすことが必要です。
条件は主に次の3つあり、このうちどれか一つでも満たしていれば受験資格は与えられます。

  • 学歴による受験資格
  • 職歴による受験資格
  • 国家資格による受験資格

これらの条件は、社会保険労務士の資格を将来性、信頼性のある国家資格にしようとする目的から、定められたものです。
なお、国籍の制限はありませんので、3条件のどれかを満たしていれば、たとえ外国人であっても社労士試験を受験することができます。

学歴による受験資格

学歴による受験資格は次の通りです。

  • 大学の一般教養科目の修了者、短期大学や高等専門学校の卒業者(なお、学士の学位を取得した人であれば、在学中でも受験資格があります。)
  • 旧制高等学校、大学予科、専門学校の卒業者
  • その他、厚生労働大臣が認めた学校の卒業者

職歴による受験資格

職歴による受験資格は次の通りです。

  • 社会保険労務士(社会保険労務士法人)または、弁護士(弁護士法人)の補助事務経験が、通算して3年以上ある者
  • 国や地方の公務員として、行政事務経験が通算して3年以上ある者
  • 労働組合の役員として、労働業務専従期間が通算して3年以上ある者
  • 会社の役員として、労務担当期間が通算して3年以上ある者
  • 労働組合の職員あるいは、会社、個人事業の従業員として、厚生労働省で定められた事務経験が通算して3年以上ある者

国家資格による受験資格

国家資格による受験資格は次の通りです。
なお司法試験の合格者(2次試験の合格者)はそもそも社労士試験を受けることなく社労士になる資格が与えられます。

  • 行政書士試験の合格者
  • 司法試験の1次試験合格者や、高等予備試験合格者