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税理士とはどこが違う?

志郎「老師、最後に1つ質問なのですが・・・」
依田「何じゃ?」
志郎「社労士の仕事は税理士とそっくりな気がするのですが、どこか違うのですか?」
依田「流石はワシが見込んだ弟子じゃ、実に良い所に目をつけとる。」
依田「その件は社労士の業務についての説明を一通りしてからにしようと思っていたが、質問もあったことだし、先に話しておこう。」
志郎「ありがとうございます、老師。」
依田「確かに社労士と税理士は共に「書類の作成や手続きの代行」を仕事にしている職業じゃ。じゃが、勝者の違いはその「取り扱う内容」にある。」
依田「簡単に言えば、保険関係の代行を行うのが社労士で、税関係の代行を行うのが税理士じゃ。まあ細かく言えば他にもいろいろあるが、とりあえずこれだけ覚えておけば充分じゃよ・・・しっかりと理解したか、我が弟子よ?」
志郎「完璧です、老師!!」

解説

社労士と税理士は「書類の作成や手続きの代行」が主な業務となりますが、取り扱う内容は両者で違いがあります。
社労士の仕事は「事業主が社会保険事務所や公共職業安定所に提出する書類の作成や手続きの代行」となります。
一方、税理士の業務は「法人や個人が税務署に提出する書類の作成や手続きの代行」ですので、 業務の内容は「税金」に関することになります。
また、代行の対象においても両者には違いがあります。
労働社会保険の加入義務があるのは事業主に限られるため、社労士が代行するのは事業主の用件となります。
それに対し、税理士は税に関する代行ですから、その対象は「法人」や「個人」と幅広く、事業主からの依頼とは限らないのです。

社労士と他の士業の違い

社労士の業務と混同しやすい他の士業の業務を一覧でまとめてみました。

士業 主な業務
社労士 労働保険と社会保険の届出・労務の相談指導
弁護士 裁判の弁護や代理等
税理士 税金の申告・経理の相談指導
弁理士 特許の申請
公認会計士 会計の監査と証明
税理士の仕事も可
司法書士 不動産の登記・会社の登記・裁判所での手続
行政書士 その他いろいろな届出

社労士の魅力とは?

志郎「老師、質問です。社労士はどのような点が魅力なのですか?」
依田「うむ、これもまた良い質問だ。今から社労士の魅力を教授するから心して聞くがよい。」
依田「社労士の魅力は一般的に次のようなことがあげられておる。」

  • 仕事をしながら、短期間で取得可能である上、一度取得すれば一生使える資格である
  • 経営の要素、「人」に関わるスペシャリストとして実際に役立つ資格である
  • 社労士しかできない独占業務があり、安定した収入が得られる可能性がある
  • 今後、ますます活躍の場が広がることが期待されている業種である

依田「どうじゃ、これを聞けば労務士の資格を取得したくなるじゃろう。」
志郎「はい、老師・・・でもなぜ、収入の点だけ断言ではないのですか?」
依田「うむ、それはあれじゃ・・詳しくは資格を取得してからじっくり教えてやろう。」
志郎「はあ・・・」

解説

「社会保険労務士」は今とても注目されている資格の一つです。
その理由は主に次のようなものです。

短期間で取得可能である上、一度取得すれば一生使える資格である

社労士試験は範囲も広く、決して簡単な試験ではありませんが、難関と言われている司法試験や公認会計士試験と比べて、仕事をしながら短期間で合格が狙える数少ない国家試験です。
また、一度取得すれば、更新の必要はありませんので、一生の資産となります。
ただし、これは単に「社労士になるための資格」を一生持ち続けることができるというだけで、社労士として活躍するには常に最新の知識を身に着けていくことが求められます。

経営の要素、「人」に関わるスペシャリストとして実際に役立つ資格である

企業経営を円滑に行うためには、「人(従業員)・モノ(商品など)・金(資本)・情報」の4つの要素が不可欠です。
特に会社は人を1人でも雇えば、「人の問題」すなわち、労務管理の問題というのは出てきますので、その労務管理の専門家である社労士が不要になるという事態は事実上ないのです。
また、社労士に求められるのは雇用保険などの各種保険の知識や雇用・就業・人事などの問題の解決の能力ですから、仮に社労士ではなくどこかの企業に一般社員として就職したとしても、資格取得の際に得た知識等は「雇用環境はどう変化しているの?」「こんな時はどんな保険の適用があるの?」と疑問に思った時などあらゆる場面で役に立ってくれることでしょう。

社労士しかできない独占業務があり、安定した収入が狙える

社労士の業務は大きく3つに分けられます。

  1. 行政機関への提出書類の作成、手続き代行、事務代理
  2. 事業所に備え付けが義務付けられている帳簿書類を作成
  3. 企業の人事・労務管理や、企業・自営業者・個人の年金問題等に関するコンサルティング

1と2は社労士として登録していないとできない、独占業務であり、また3は独占業務でこそりませんが、これらの業務の一環として就業規則の見直しも併せて行うことができるのが社労士の強みです。
これらの事柄は会社の経営にとって不可欠であるので、社労士の仕事がなくなることはなく、また、毎月の給与計算や、顧問として相談業務、入退者の手続きを行うことで安定的な収入の確保につながります。

躍の場が広がることが期待されている業種の1つ

近年、各企業とも「人」の重要性を認識しはじめていることもあって、 社労士が従来行ってきた「様々な書類の作成や手続きの代行」という業務だけではなく、 社労士の専門知識を活かしたコンサルティング業務への期待も高まっています。
さらに平成19年4月より、特定社労士があっせん代理ができるようになりました。
ちなみに、「あっせん」とは裁判になる前に、行政が間に入って解決する裁判外紛争解決のことであり、「あっせん代理」とは、社労士が当事者の代理としてこの手続きを行うことができることです。
労働相談の件数は年々増加しており、あっせんの申請受理件数も増加し続けています。こういった職場のトラブルを迅速に解決する、労働関係法令のプロとして期待されています。
また、最近は厳しい不況による労働問題の深刻化や、医療・年金制度が不安視されている中で、社労士は正しい知識を提供できるアドバイザーとして社会的ニーズも高まっています。