依田「うむ、覚えておるぞ」
志郎「しかし、先ほどの老師の説明を聞く限り、そのような感想は受けなかったのですが・・・」
依田「それは簡単じゃ、我が弟子よ。要するに法律上の規定と現実のギャップじゃ。」
依田「確かに代行業は法律に定められている社労士の業務の1つでしかない。じゃが、現実には社労士の業務といえばほとんどこれなんじゃよ。」
依田「考えてもみよ、タイムカードや就業規則をつくったり、人事配置などの相談が毎日あると思うか?}
志郎「・・・普通はないですね・・・」
依田「その通りじゃ、じゃが保険関係の手続きは人を雇用している限り日常的に起こりうる。よって、必然的に社労士の業務は手続きの代行がメインになるんじゃよ。」
志郎「なるほど、だから社労士が『社会保険と労働保険を専門にしている代書屋さん』と表現されてしまう訳ですね。」
依田「理解したか、我が弟子よ?」
解説
社労士の主な業務は、社会保険労務士法第2条に定められている3つです。
しかし、現実には、「社会保険・労働保険の加入手続き」や「厚生年金保険の月額算定基礎届け」「月額変更届け」などの事務手続きの代行(1号業務)が多いようです。
日常的な保険手続
人を雇用している限り保険関係の手続きは日常的に発生します。
例えば、会社で新しく従業員を雇った場合、「雇用保険資格取得届を公共職業安定所に提出」「健康保険・厚生年金保険資格取得届を社会保険事務所に提出」が必要になります。
また逆に、退職者が出た場合、「雇用保険資格喪失届を公共職業安定所に提出」「健康保険・厚生年金保険資格喪失届を社会保険事務所に提出」という業務が発生します。
特に人の入れ替わりが激しい会社などでは、これらの手続きを代行して処理してくれる社労士は必要不可欠な存在といえるでしょう。
その他の手続き代行
実は社労士の手続き代行は社会保険と労働保険関係に限られるものではありません。
特定の要件を満たせば、会社は国から助成金を受け取ることができますが、この助成金申請の手続きを代行するのも社労士の代行業務の一つです。
ある意味、会社が助成金を受け取れるか否かは社労士次第ということですから、数ある手続き代行の中でも最も重要な仕事といえるかもしれません。